猫がブラッシングを嫌がるー「続けられる」やり方と頻度の目安

健康・お手入れ
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ブラシを取り出した瞬間、膝の上で寝ていた猫がすっとどこかへ行ってしまう。あの背中を見送る気持ち、よくわかります。体にいいのはわかっているのに、続かない。

でも、猫がブラッシングを嫌がるときには、たいてい理由があります。そしてその多くは、道具ややり方を少し変えるだけで外せるものです。この記事では、嫌がる猫と無理なく続けていくための考え方をまとめました。完璧にやる方法ではなく、明日もまたブラシを出せる関係でいるための方法です。

短毛の猫にも、ブラッシングは必要?

結論から言うと、短毛の猫にも必要です。理由は3つあります。

1つめは、毛球症の予防。毛づくろいで飲み込んだ毛が胃にたまり、うまく吐き出せなくなるのが毛球症です。抜けかけの毛を先に取っておけば、飲み込む量そのものが減ります。

2つめは、体のチェックになること。毎日撫でていても、撫でる場所は案外かたよっているものです。ブラシを入れると背中もお腹まわりも順に触ることになるので、しこりやかさぶた、フケの増加に気づきやすくなります。

3つめは、スキンシップの時間になること。気持ちよさそうにしてくれる猫なら、これはもう、お互いにとってのいい時間です。

なお、長毛の猫は必要度がさらに上がります。長い毛は絡むと自力で解けず、毛玉になると皮膚が引きつれて痛みます。長毛の子のブラッシングは、快適さというより痛みを防ぐためのものだと考えたほうが近いと思っています。

猫のブラッシングの頻度は?短毛・長毛・換毛期の目安

目安は、短毛種で週2〜3回、長毛種で1日1回、換毛期はどちらも毎日です。ただし嫌がる場合は、回数よりも「短く終わらせて、嫌な記憶を残さないこと」を優先してください。

通常期換毛期(春・秋)1回の時間の目安
短毛種週2〜3回毎日1〜3分
長毛種1日1回1日1〜2回5〜10分
シニア猫週2〜3回毎日(短めに)1〜2分

換毛期とは、春と秋に毛が生え替わる時期のことです。完全室内飼いの猫は空調の影響で季節感がぼやけ、一年中だらだら抜け続けることもありますが、心配いりません。

シニアの猫は、体が硬くなって毛づくろいが届かない場所が増える一方で、長い時間じっとしているのもつらくなっています。だから回数を増やして、1回を短くする。これが現実的なやり方だと思います。

猫がブラッシングを嫌がる、5つの理由

1. ブラシが体に合っていない
硬いブラシは思っているより刺激が強いことがあります。自分の腕の内側に同じ力で当ててみて、痛いと感じるなら、猫にはもっと強く感じています。

2. 1回が長すぎる
途中から尻尾がぱたぱた動きだすのは「そろそろやめて」の合図です。「せっかくだから全身」が、猫にとっては長すぎます。

3. 触られたくない部位を触っている
お腹、しっぽの付け根、後ろ足は、多くの猫が嫌がる場所です。「ブラッシングが嫌い」ではなく「その場所が嫌い」なだけ、ということがあります。

4. 押さえつけられた記憶が残っている
一度こわい思いをすると、ブラシを見ただけで逃げるようになります。

5. タイミングが悪い
遊びたい時間やごはんの直前はうまくいきません。食後のうとうとしている時間は、かなり成功率が上がります。

嫌がる猫と続けるための5ステップ

1日30秒から始めて、猫が嫌がる前にこちらからやめるのがいちばん確実です。

ステップ1:ブラシを部屋に置いて、存在に慣らす
使わなくていいので、猫の過ごす場所に置いておきます。「突然現れる異物」でなくすためです。

ステップ2:手で撫でるところから始める
どこなら触らせてくれて、どこがだめなのか。先に把握します。

ステップ3:背中と首の後ろだけ、10往復で終わる
最初の1回は、これで十分です。

ステップ4:嫌がる前に、こちらからやめる
最大のコツです。暴れてからやめると、猫は「嫌がればやめてもらえる」と学習して、次はもっと早く嫌がるようになります。余裕があるうちに終わらせれば、「これは短時間で終わるものだ」という記憶のほうが残ります。物足りないくらいで終わるのが、いちばん早いのです。

ステップ5:終わりの合図をいつも同じにする
おやつでも「はい、おしまい」の声かけでも。同じ合図で終えると、猫のなかで見通しが立ちます。

このスモールステップの考え方は、猫を迎えたけど慣れてくれないで書いたことと同じです。体を触らせてもらう練習という意味では、猫の爪切りで暴れるとも地続きです。

猫のブラシの選び方|ラバー・スリッカー・コーム

嫌がる猫の1本目には、刺激がもっとも弱いシリコン製のラバーブラシをおすすめします。

種類向いている猫注意点
ラバーブラシ短毛、嫌がる猫、はじめての1本毛玉は解けない
スリッカーブラシ長毛、換毛期力を入れると皮膚を傷つける
コーム(くし)長毛、仕上げ、毛玉の確認毛玉に当たったら引っ張らない
手袋(グローブ)型ブラシそのものを警戒する猫抜け毛を取る力は弱め

ブラシを見ただけで逃げる子には、手袋型から入る手もあります。撫でているうちに毛が取れるので、猫からすると「いつもの撫でられる時間」のままです。

やってはいけない、5つのこと

1. 毛玉を引っ張る
毛玉は皮膚とくっついているので、引っ張られているのは毛ではなく皮膚です。かなり痛く、一度経験するとブラッシング自体が「痛いこと」になります。ハサミも皮膚ごと切る事故が起きやすいのでおすすめしません。取れない毛玉は、動物病院かトリマーさんにお願いするのが確実です。

2. 押さえつける
その場は終わりますが、次からもっと嫌がるようになります。

3. 嫌がって暴れてからやめる
やめどきは、猫が決める前にこちらが決めます。

4. 力を入れて同じ場所を何度もとかす
往復しすぎると皮膚が赤くなります。

5. 「今日は全身やる」と決めてしまう
今日は背中だけ、明日はしっぽまわり。分けていいんです。

ブラッシング中に気づける、体のサイン

次のような変化に気づいたら、動物病院に相談してください。

  • しこりや、いつもと違うふくらみがある
  • かさぶたができている、フケが急に増えた
  • 特定の場所だけ、急に強く嫌がるようになった(痛みがある可能性があります)
  • 毛の艶が急に落ちた、毛が抜けすぎる
  • 自分で同じ場所ばかり舐めている

「前からあって変化していないもの」は次の健康診断で相談、「最近できた・大きくなっている・触ると痛がるもの」は早めに受診。この分け方がわかりやすいと思います。とくに「急に嫌がるようになった」は、いつもブラシを入れている人だからこそ気づける、見逃したくないサインです。

なお、私は獣医師ではありません。気になることがあれば、迷わず動物病院に相談してください。

わが家の場合

うちの3匹は、反応がぜんぜん違います。12歳の子は3分もすると耳が後ろを向くので、1回1〜2分を日に何度かに分けています。ソファで寝ているところに座って、ついでのような顔で20往復して終わり。5歳の子は、ブラシを持って近づくと自分から寝転がるタイプです。

問題は、保護出身で体を触られること自体を警戒していた6歳の子でした。最初の1年は、まともにできた記憶がありません。変えたのは2つだけ。ブラシをリビングの隅に置きっぱなしにしたことと、背中を5往復したら、まだ平気そうでもやめるようにしたこと。半年くらい経ったころでしょうか、ブラシを手に取っても逃げなくなっていることに、ふと気づきました。いつ変わったのかは、はっきり覚えていません。

今でもこの子は、お腹だけは絶対に触らせてくれません。それはもう、そういうものとして受け入れています。背中としっぽの付け根が整っていれば、暮らしはちゃんと成り立ちます。

よくある質問

Q. 一度嫌がってやめてしまいました。再開できますか?
できます。ただし同じやり方だと同じところでつまずきます。ブラシを部屋に置いて慣らすところから、やり直してみてください。

Q. ブラッシングをすると静電気が起きて、猫が嫌がります。
冬場によくあります。前に湿らせた手で毛を軽く撫でておくと、かなり軽減します。

Q. 毛玉ができたら、ハサミで切ってもいいですか?
おすすめしません。皮膚を巻き込んでいることが多く、皮膚ごと切る事故が起きやすいためです。動物病院かトリマーさんにお願いしてください。

まとめ

  • 短毛の猫にもブラッシングは必要。飲み込む毛を減らし、体の変化に気づくため
  • 頻度の目安は、短毛で週2〜3回、長毛で1日1回、換毛期は毎日
  • 嫌がる原因の多くは「ブラシが合わない」「長すぎる」「触られたくない場所」
  • 嫌がる前に、こちらからやめる。これがいちばんのコツ
  • 毛玉は引っ張らない。取れないものは病院かトリマーへ

週に2回でも続いているなら、それはちゃんと十分なことです。完璧にやることよりも、明日もまたブラシを出せる関係でいることのほうが、たぶん大事なんじゃないかと思っています。猫のペースのことは猫と暮らすということにも書きました。よかったら、そちらも読んでみてください。

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